top of page

全ての存在の「価値」を解放し、ともに共感者を探していくイーストタイムズ、創業10周年によせて



2025年2月22日、にゃーにゃーにゃーの日、イーストタイムズは創業10周年を迎えました。これまで一緒に夢を目指して走ってきてくれた全てのみんな、どうもありがとう。そして、おめでとう。

仙台の八木山の小さなアパートから生まれた会社は、10年後、プライム企業の企業理念を構築する会社になりました。


■東日本大震災の報道を通じて見つめた「人の意志の力」




10年前の2月22日、私は、当時のパートナーと、「そこに生きる人びとを伝える」現場主義のインターネット報道を行うイーストタイムズを立ち上げました。震災報道と地域報道を本気でやろうと思ったのです。


当時は震災3年後でした。東日本大震災から3年経った被災地をひたすら車で走り続け、取材を続けました。仮設住宅のおばあさんのお家に伺い、居住禁止区域で網を直している漁師のおじさんのお話を聞き、移住者の若者たちの話を聞き続けました。

これは、あの時あの場にいた人ならばわかると思うのですが、地平線まで何も無い更地になったあの世界で、どんなことが起きていたのか。


それは無政府状態などではなく、人が未来への強力な意志で、絶望から立ち上がる世界です。希望とは、未来に進む意志であると、その時私は思いました。


いつ終わるかわからない、かさ上げ工事。合理的に考えれば、もう諦めて都会に移住したらいいのに、「絶対に諦めない」と歯を食いしばって街を再建し続ける人々。折れそうになる心を鼓舞し続けて、立ち続ける人々。




その姿を見て、僕は激しく心動かされました。

自分が生きてきた生き方は、根本的に間違っていたのではないか。つまらないものに囚われ、見るべきものを見ていなかったのではないか。自分はなんてちっぽけなんだと。愚かだったと。


■地方創生の現場で出会った「価値を信じる人々」


その後僕は、縁あって、地方創生の世界に飛び込みました。自分の祖父母の家が、秋田の山奥にあって、その小さな町が、どんどん目に見えて寂れていくことに対して、自分は何もできないのかと、ずっと思っていたことがきっかけでした。

そのローカルにもいたのです。被災地と同じように、過疎化が進み圧倒的に不利な状況の中、意志を持って戦いをしている人たちが。




僕は山形のある小さな町の市役所の方が語った言葉を、一生忘れません。仕事の合間に、山合いの蕎麦屋に僕らを連れて行ってくれた彼は、蕎麦屋の裏の谷間の水田を見下ろしながら言いました。

「こっから見る景色はどうだ。有名でもねえし、大したことのない景色と言われるかもしれねえけど、俺は、いいもんだと思うんだ」。そこは多分、その人にとって、大切な景色だったのでしょう。

日本中を回る中、同じように、自分の街には価値があると信じる人々がたくさんいました。そして、その価値は、決して他と比べて決められるものではなく、自分自身が価値だと思ったから、価値だと言っていると気づいたのです。


果たして、世界中の誰が、この気持ちを否定できようか。

否定するやつは全部間違っているんじゃないか。


そこで私は「あなたの驚き発見感動こそがローカルの魅力である」と言い始めました。

そこからさらにもう一歩進んで、「あなたの驚き発見感動こそが価値である」「心のゆらぎこそが、人の価値である」と人に伝える活動を始めました。


■人の心の「ゆらぎ」こそが、人の価値である。その考えを人や地域や企業に展開する


人の心の「ゆらぎ」、それこそが人の価値であり、その心の動きを、伝わるように伝えれば、共感者が生まれ、共感が連鎖することで、社会にムーブメントが起きる」。そんなことを言い始めました。その考えを、私たちは、FLAG RELATIONS理論(FR理論)と名付けました。


FR理論は、最初、地方創生の分野で使われ始めました。

「移住定住に使えそう」「ふるさと納税に使えそう」

「離島事業者の発信支援に使えそう」


次第にそれは、企業にも広がってきました。

「ベンチャー企業にも使えそう」「中小企業の採用にも使えるのではないか」


そしたら、今度は、売上3000億円の自称中小企業が来ました。その後、売上5000億円の自称中小企業が来ました。時価総額2000億のプライム企業も来ました。でも、みんな言っていることが、ローカルの事業者と同じなんです。


自分自身が信じる価値、未来を信じて、その価値を目指して戦っている経営者は、被災地で戦っていた人々と同じだと思いました。その価値=フラッグ(旗)を目指して、共感する人が集まってきます。近年は、企業に向けた認知経営戦略、共感型組織開発、共感型採用の仕事も増えています。


一人ひとりが、自分の驚き発見感動を発信し、共感する人を募り、ムーブメントを起こすということの実践の場として作った市民参加型ニュースサイト「ローカリティ!」も、400人以上が参加し、全国各地の「価値」を発信するメディアに成長しました。




■あなたの価値に共感する人はもっといるはず。まず僕がその一人目になろう


振り返れば、本当に多くの方々にお世話になりました。

イーストタイムズのメンバーとして働いていただいた方だけでも、60名以上。レポーターは400人。スクール参加者は5000人。一緒に仕事をさせていただいた企業や自治体はもう数え切れません。一人ひとりが恩人です。ありがとうございました。


結局何をしたいの?という問いに答えて、終わりたいと思います。


私は、価値ある人やモノや場所が、評価されずに見過ごされているのが、とてももったいないと思っています。全ての人やモノや場所は、本当はもっと価値を持っている。でも、その価値がうまく発揮されていないだけだと思います。


その人やモノや場所、そして企業も、自分の価値をもっと発揮できるようになれば、人はもっと幸せに生きられるのではないかと思っています。目の前の世界だけが世界ではないんです。世界は実はもっと広く、多様で、豊かだ。


自分はどうも生きづらいなとか、どうもうまく受け入れられていない気がするとか思っている人や企業や地域に対して、あなたは最高に素晴らしい、その価値に共感してくれる人はこの世界に必ずいるから、一緒にその人を探しに行こう。まず僕がその一人目の共感者だ。


そういうふうに言って、私たちは、人の囚われを解放していく仕事をしていきたいと思っています。


2025年2月22日

合同会社イーストタイムズ代表社員CEO

ローカリティ!編集長

中野 宏一



bottom of page